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【コラム】2024年12月 増え続ける不登校を考える!!

公開日:2024年12月03日 最終更新日:2024年12月03日

2024年12月の竹内先生のコラム(お手紙)です。自筆を大切にしたいので、ファイルを張り付けています。

竹内先生のコラム 2024年12月 (1.5MB)

 

-----  以下テキスト版-------

増え続ける不登校を考える!! 

 今年はじめ不登校は増え続け30万人を越えたのですが、今年の十月末の発表では、34万人と増え続けていることが明らかになりました。なぜ増え続けるのだろうかと気になっています。そんな時、今井むつみさん(慶應義塾大学環境情報学部教授)著の「学力喪失」という本を手にしました。この本をベースに“今の学校”についてどうなっているのか考えてみました。 
 はじめに「学ぶ力」は漢字で表記すれば「学力」である。しかし現代社会において「学力」とは何にかと問えば、ほどんどの大人は「学校の成績」と答えるだろう。......そして小学校に入学して以降は学習内容についていけず「学力が足りない」とみなされてしまうのは、なぜだろうか? ......筆者は多くの子どもたちが、学びは困難で自分には無理だと思ってしまうのは子どものせいではなく、大人のほうに何か根本的な誤解があるのでは、大人たちこそが、子どもたちが本来的にもつ「学力=学ぶ力」を喪失させているのではと考えるようになった。 しかし人間の子どものもつ「学ぶ力」をもってすれば喪失してしまった学ぶことへの意欲は大人の工夫で回復することができるはずだ。乳幼児期の子どもは自らの「学ぶ力」で言語と概念の習得していく姿を目の当たりにしてきた。筆者にとってそれはゆるぎない確信である。......子どもたちが本来的にもっている「学ぶ力」をなぜ十分に発揮することができないのか。その原因と回復への道筋を明らかにしたのであると前文で書いていますが、私も今の学校の状況を考えると子どものせいにするのではなく、大人たちこそが考えてみる必要があるのではと考えています。
 第一章では、教科書の算数の文章題を取り上げて子どもがどこにつまずいているのか分析している。足し算、引き算、かけ算などの計算はできるが、計算の意味が分っていない。文章題を読んで何算を使うのか、その意味がわからない。子どもたちは「わり算」を「数が少なくなる計算」くらいにしか理解していないと。計算のすべてで「意味の不理解」のままに、積み残された基本的な概念がそのままに積み残されていくと指摘している。そして第1章のまとめとして大人の側が、学ぶ内容を子どもが理解できない原因の本質を捉えず局所的で対所的な対置療法のみが繰り返し試みられている。そして子どもは計算をくり返し、宿題でドリルをして、計算のしかたを覚えるが、どのようなときに何算をどのように使うのかも、くり返しの中で自分の考え、学び納得することができないでいる。だから、問題が少し変化するとどう考えたらよいかわからずあてずっぽうでも、とにかく、答え、書くということになる。そして、大人側にある問題を列挙している。その1番目に挙げているのが文科省が実施してきた全国学力テストをはじめとした 標準学力テストの得点を「学力」と捉え、そのようなテストで「高得点をとる」ことが「学力をつける」こくだと捉えてきたこと。しかし、そのようなテストでは、子どものつまずきの根本を見定めることはできない。そして、子どものつまずきの本質を理解しないまま、わかりやすく教え、その問題を何度も繰り返して、解く練習をさせれば、子どもは理解し、知識として定着するはずという信念をもっている大人(行政、教師、親など)が教育を続けていること。その結果として局所的な対処療法だけが考案され試みられているとまとめている。この今井さんの指摘は私も同感です。今の学校では問題を何度も繰り返し、練習し、宿題として家でもドリルして「高得点」をとることが子どもに求められています。「学び」とは自分であれやこれやと試行錯誤しながら自分なりの考え方を発見し、なるほどと納得し、その過程を楽しみながら発見していくことだと思うのですが、今の子どもたちには(先生にも)そのようにじっくり学ぶ時間の余裕もなく、とにかく「高得点を取る」ことが優先されることになるのです。今では定着してしまっている全国学力テスト(小6、中3)で、よい成績をとり、平均点で学校がランクづけされ、上位の学校に入るためにその過問を子どもたちにやらせる学校もあると聞きます。誰のためのテストなのでしょうか。まさに学校のため、先生のため、親のためにということになります。大人は子どものためにと思うかもしれませんがそれは大人の側の思い込みです。そして、2~3年前から川崎市でも独自の学力テストが毎年実施されています。(ベネッセに丸投げのテストを)つい最近埼玉でも学力テストが行なわれていて、そのテスト問題がネットに漏洩したというニュースがありました。 
 第2章のまとめの中に、「知識は『教えられることで学び手の頭の中に入れられる。
『わかりやすく、繰り返し教えれば、学び手は理解する』と考えられている。しかし、この考えは根本的な誤解である。」「生きた知識はていねいにわかりやすく教えられ習得するわけではなく、自分で母語の仕組みを発見し、単語の意味を自分で考え、手探りで試行錯誤を繰り返しながらまとめているのです。子どもが受け身ではなく、主体的に学習に取り組んでいくことの大切さを主張しています。今の学校はそうなっているのでしょうか。一年生が入学して教えられるのが、椅子の座り方、手の挙げ方、大きな声での返事、筆箱の中味の指定などなどたくさんのやくそくごとです。そんな中で、本来たのしいはずの学校がそうでもないかなと感じる子がいてもおかしくないのです。最近、小学校での不登校が増えています。そして、一番多いのが2年生だとも聞きます。 
 そんなことを考えている時、11月15日号のタウンニュースに『「不登校」初の3千人台、いじめも5千人超え』(川崎で)というタイトルの記事が載っていました。23年度の調査で不登校の児童生徒は3千人を超え、いじめも5千人を超えたと(24年はもっと増えている)そして、不登校の理由としては、「不安よくうつ」の相談があったが、小、中学校でいずれも最多で「学校生活に対するやる気がない」「生活リズムの不調」という相談があったという記事ですが、不登校は子どものやる気、生活のリズムの問題としてとらえています。その視点を見直さない限り、これからも、不登校いじめは、増えていくのではと思っています。学校へ行かなくてもいいと思っている子どもは、一人もいないのです。自分でも訳は分からないのですが、行けないのです。なまけている子どもなど一人もいないのです。学校がたのしかったら、安心できたら、だまっていても子ども、行けるのです。 
今の学校をもう一度問い直す必要があると思っています。 


2024年11月中旬  竹内春雄
  

この情報は、「不登校を考える親の会 川崎の会」により登録されました。

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