10年目のフクシマ その7 再び原子力災害伝承館、チッソとの比較
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「〇〇さゃんのお姉さん、チッソマンと結婚するんだって! 」と水俣市の小学校の女の子が興奮して語ったという。チッソマンとは水俣病を起こした熊本県チッソ水俣工場で働く従業員のこと。水俣市ではチッソは尊敬されており、給料もいい。上級国民としてここに来るのは東大卒の超エリートだ。
これは、去る2021年4月26日(土)東京・有楽町マリオン朝日ホールで2年ぶりに開かれた「第18回水俣病記念講演会」で、文化人類学者・上田紀行さんの紹介してくれた話だ。
当シリーズ3で紹介した「展示の富岡第二小学校6年生の作文」の作文を思い出す。Face bookでは、大人がやらせで書かせたという投稿もあったが、私はそうは思わない。このチッソマンとの結婚をうらやましがる小学生にも通じるものがあると思った。
同じ講演で文芸評論家の斉藤美奈子さんは四大公害(水俣病、新潟水俣病、四日市ぜんそく、神通川流域のイタイイタイ病)の記念館を見学して、同じように美しい箱もの行政について論じていた。「国や企業の責任は書かれていない。今は過去のこととして、自然災害のように見えるようにして、なんでこうなったのかボンヤリとしか見えてこない。国家権力は事実を歪曲して、忘れさせるようにしているようにも」。
写真は伝承館から見える津波被災の建物だ。「あそこに見えるは工場だったのでしょうか? 」と館のスタッフに尋ねる。「さあ、分かりません。地元の者ではないので」
国はこの伝承館一帯を福島県(双葉町・浪江町)福島県復興記念講演として設置する計画だ。パンフレットの基本計画4項目のひとつは「事実を伝える」だ。「特に次世代に切れ目なく震災の記憶と教訓を引き継ぎます」として、この写真の建物だけは中野地区集落の住居跡」として残されるようだ。その八幡神社は新しい鳥居が建てられ、材木は切られている。
10年間で成長した樹木はトラックの板張り加工した荷台を突き抜けて伸びている。
撮影:2021.4.2、4.3、4.9
このシリーズは大きな写真で、ホームページでもご覧になれます。
https://dti-fukushima-wasurenai.jimdosite.com/
この情報は、「フクシマを忘れない会」により登録されました。