基礎講座③「紺屋-用水の染物-」、体験教室「藍染+α」
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2019年7月27日(土)、緑溢れる川崎市北部ある生田緑地内の生田緑地整備事務所会議室で本年度第3回目基礎講座を実施しました。
講座のテーマは「紺屋(用水の染物)」で、講師は昨年度に引き続きNPO法人高津文化協会長 鈴木穆氏にお願いし、実施しました。
午後は、藍染の体験教室を中心に、古民家見学も行いました。
講師の都合により、先に「千年の紺屋」のビデオを視聴しました。
内容は、地元高津区千年で江戸時代より紺屋を続けている(現在は廃業)清水染物店の藍技術の様子を原料の藍草の取り入れから藍玉作り、型彫り、染め付けといった工程を四代目を中心に記録されたものです。特に水は必要のため、地下水や近くを流れてる二ヶ領用水の根方堀も利用されていました。(余分なことですが、二ケ領用水のパンフレットには上記の清水染物屋が紹介されてます。)
そして、当ミューラボの代表江原から講師の紹介があり、鈴木氏の講座が始まりました。
最初に、大山街道筋での紺屋の概要の説明がありました。
江戸時代、街道筋には紺屋は2軒・・・「染色」を職業とする染色業を、古くは紺屋と言ってました。溝口の紺屋は、上の紺屋と下の紺屋の2軒ありました。
上の紺屋「伊藤染色店」は、街道筋で一番古く、境橋(現在の栄橋)付近にあり、平瀬川の水を主に利用していました。原料は東京仙川付近から取り寄せ、製品としては「糸」と「半天」で、「糸染」については農家に頼まれた手織り用の絹糸と、東京の問屋から注文された綿糸が主で、「半天」は、鳶、土方、左官等に広がりました。染物製品では、様々な工程が必要なことが分かりました。特に洗いや濯ぎに前述の平瀬川を利用していました。
下の紺屋「池田屋染物工場」は伊藤染色店に次いで古い工場であり、創業からおよそ250年ぐらい経過しています。原料は北海道の藍を使って染めて、製品としては農家用腹掛け、半纏でした。特に、店の裏庭近くに流れていた「二ヶ領用水」(改修前の二ヶ領用水)の水を利用して洗いや濯ぎをしていました。
昭和7(1932)年にクリーニングを、川崎ではいち早く始めました。染物は和服を解き、洗濯をして染めるので、染物店をやっていた店の多くは、クリーニングを始めた模様です。
次の染物工場等の多くは、大正12(1923)年に発生した関東大震災後に、染色には大量の水が必要なため、都心の汚れた河川から、当時清らかな二ヶ領用水を求め引っ越してきました。
*「藤江染工場」・・・関東大震災後に二ヶ領用水の水を求め引っ越してきました。製品としては手拭いや浴衣地染が主で、特に昭和33(1958)年にベルギーでの博覧会でグランプリを受賞しました。二ケ領用水も汚れが目立つようになり、毎日100トンの地下水を利用している状況です。
*「更庄」・「更慶捺染工場」・・・関東大震災後に溝口に引っ越してきました。水は「6か村堀」を利用しました。更庄製品の7割は「手拭い」で、盆暮れの挨拶回りに利用されました。「浴衣染」の製品は、日本橋の問屋に送られました。
*「水谷糊置染工場」・・・・関東大震災後に溝口に引っ越してきました。一つの方法として、布のある部分に糊を塗り、色の染まらないようにする技法を活用しての染色でした。
*「橘屋染物屋」・・・・・橘屋が利用する水は「平瀬川の水」(改修前)です。当時は現在の帝京大学溝口病院裏門あたりを流れ、店の近くにあり利用されたと思われます。当時溝口より下流の平瀬川や二ヶ領用水の流れは蛇行を繰り返していました。
結論として、日本の戦前の経済状況の様子や地元の溝口付近の状況についても詳細な話があり、時代の経過とともに産業の変化も興り、残念ながら地元溝口には、現在染色関係がわずかしかないことを知ることなりました。
その後、若干の質問があり、予定より少し遅くなって、午前の講義は終了しました。
午後は、伝統工芸館に移動して、藍染体験を実施しました。
伝統工芸館は、川崎市立日本民家園の西門も兼ねています。体験の前に、ボランティアさんの案内で古民家を見学しました。
続いて、いよいよ藍染体験です。伝統工芸館には8基の「藍がめ」があり、体験の他に講座やミニ展示を行っている施設です。
藍はタデ科の一年草で、刈り取った葉を石灰などと一緒に加熱・発酵させて「藍液」を作ります。
布を浸して、空気に触れさせて酸化させることで、染色します。
とても暑い日でしたが、指導の方の教えにより、参加者は一生懸命に取り組みました。
青よりも濃く紺よりも淡い、美しい色に染まりました。日本古来の伝統的な手仕事を学ぶことができました。
以下、参加者の感想です。
「以前に別なところで、藍染の絞り染め体験を行いました。今回は予めデザインを考えて行いました。マンツーマン的な指導もあり、ほぼ思ったとおりに出来上がりました。とても感激しています!また、染物体験前の古民家の見学も1時間程度でしたが、とてもわかり易いガイドでした。ありがとうございました。」
10月以降の事業として、3回の現地見学を開催します。各回については参加者募集中です。お申し込みをお待ちしております。
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