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【コラム】2024年3月 広木先生に学ぶパート4

公開日:2024年03月08日 最終更新日:2024年03月12日

2024年3月の竹内先生のコラム(お手紙)です。自筆を大切にしたいので、ファイルを張り付けています。

竹内先生のコラム 2024年3月 (1.4MB)

 

-----  以下は参考。テキスト化したものです。-------

広木先生に学ぶパート4 
  広木先生に学ぶとして、広木先生の講演抄の抜粋のそのまた抜粋をパート1からパート3まで書いてきました。パート4ではその総まとめとして、広木先生の〈親が学ぶことの意味について>話していますが、これは、抜粋しないで全文を載せたいと思います。 
 不登校の子どもの話をしていると分かることがあります。それは彼らがまるで自分の敵と味方を峻別するように心を開いてくれる人と開く気のない人を敏感にかぎ分け、見分ける力が強くて、敏感なことです。だから例えば子どもから「お母さんちょっといい?これ買って欲しんだけど」と言ってもらえたら、言ってくれたという事実の価値を見逃さないでもらいたいのです。そして「どれが欲しいの?」と尋ねながら、「できたらどうしてそれが欲しいのか訳も教えてくれたら嬉しいんだけど・・・」と伝え、子どもが嫌がらなかったら、子どもの気持ちを理解したいと思っていることもサラリと伝えてみて欲しいと思います。そうしていろんな要求や願いを、お母さんに話しても大丈夫だと思えるようになると、その変化に連れて家の中の空気が変って行くはずです。今までなかなか自分の部屋から出てこれなかった子が居間で自由に振る舞うようになったりすることもあります。それだけでうちの中の空気は大きく変わるのです。 
 親が学ぶことの意味は学校に戻す方法を知るためなどではなく、子どもの話を聞ける親に、あるいは子どもが話してみようと思ってもらえる親に変わるためであり、子どもの育ち直す力を信頼して待てる親になるためです。子どもが変わるだけでなく、親が変わり、親子関係が変わって、やがて子どもも変っていくからです。その変化にいくら時間がかかったとしても子どもはやがて「もうそろそろ外に出ようかな」と言いながら、「ちょっと買い物に行ってくる」などと言って除々に外に出ていくようになるのです。これが不登校の子どもが育ち直すということであり苦しかった不登校を親の支えを得ながら克服していくということなのです。 
 そのために私たちが学んでいることを一言でいえば、それは「ケーアの心を学び、子どもを信じる心を学ぶ」と言うことになると思います。そして、同時に、ケアの心を実践することを心がけ、それを頭の中に置いて、子どもとかかわるのです。私たち自身が能力主義の教育を受けてきたわけですからケアの心を学び身につけるのには時間がかかります。でも、できないことではないし、全国親の会で多くの仲間がそれをやってきていることに自信を持って、子どもに寄り添い支えることのできる親になって欲しいと思っていますと。話しています。 
 この広木先生のお話は、昨年、東京での講演をもとにまとめたものです。 
 これを読みながら改めて不登校のこと、親のこと、子どものことを考えてみました。 
 広木先生は、能力主義と管理主義はまさにコインの表と裏といっていますが、私も同じように思っています。そして、その能力主義の序列化はますます強化されています。テレビを見ても塾の宣伝で有名大学の合格率を競っています。それから幼児教育にも進出しています。そして中学校では「隠れ校則」があると例示しています。例えば先生が質問したら生徒は「全員挙手」、休み時間の終る3分前に「3分前学習」とそれぞれのクラスで実行されているか5段階評価で全員していたら「オール5day」で1人でも守もられなかったら「お前のせいで5がもらえなかった内申書に響くじゃないかとケンカになる」としています。これは一例に過ぎないのかもしれないと思うのですが、大なり小なりどの学校にもある管理なので はと思うのです。今の学校はその能力主義と管理主義の真只中であり、子どもは、その生きづ らさを敏感に感じとっていると思うのです。それは、子どもだけでなく、先生もまた「この状況」の中で教師を続けられるのかとやめていく教員も多く、川崎でも180名先生が足りず、担任の先生がいない学級もあるのです。そんな学校の中で生きづらさを感じ行けなくなる子どもが増え続づけています。そして、最初の相談での親の質問は「学校に戻すにはどうしたらいいですか」です。それは親として正直な気持ちなのですが、行けないという問題は子どもにあり、それを「治す」ために、どう助言をし、治療していくかという対応です。学校へ戻すことが課題の対応です。最近の新聞にスクールカウンセラーが足りないので増していかなくてはという記事がありましたが、スクールカウンセラーを増して、子どもに対応していけば、子どもが学校へ戻れるようになるのでしょうか、そうは思えないのです。能力主義と管理主義の現在の学校が変わらない限り、学校には子どもがたのしいと思える居場所はないと思うからです親が学ぶことの意味は学校へ戻す方法を知ることではなく、子どもの話を聞ける親であり、子どもが話してみようかなと思えるような親に変われるかということです。子どもの育ち直す力を信頼して待てる親になれるかどうかと広木先生も話していますが、私もそう思っています。子ども育ち直しの名人なのですと。 
 これからも皆さんと一緒に学んでいけたらと思っています。子どもの思い気持ちを大切にケアの心で進んでいきましょう。 
 そして親の会で、皆さんの声や子どもの様子などさらに交流を深めていきましょう。 
 みなさんとお会いできることを楽しみにしています。

 
2023年8月竹内春雄

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