【コラム】2023年11月 不登校の調査、今年度の発表(2023年10月4日) について
公開日:2023年11月02日 最終更新日:2023年11月04日
2023年11月の竹内先生のコラム(お手紙)です。自筆を大切にしたいので、ファイルを張り付けています。
----- 以下は参考。テキスト化したものです。-------
不登校の調査、今年度の発表(2023年10月4日)
昨年、不登校は全体で24万5千人でした。遠からず30万人になるだろうと思っていたのですがそれが1年で30万に増えるとは思っていませんでした。正確には29万9千人ですが 不登校は増加の一途をたどっているということです。小学校で増加しているようです。
なぜ増え続けているのでしょうか。その一端を発表されている不登校の要因調査に見ることができます。要因の1番は「無気力不安」51%「親子関係」8% 「学校関係」 1.2%と発表されています。この調査の解答者は学校です。だから要因の大半は子どもの無気力不安」となり、学校の要因は1.2%になるのです。「いじめ」に致っては0.2%です。学校はちゃんと指導しているとなるのですが、「いじめ」は不登校の倍の60万人です。学校での指導はちゃんとしています。子ども側に要因があるのですという調査になっています。変わるべきは学校ではなく子どもであるという姿勢が「いじめ」0.2%になっているのです。
その「無気力・不安」について、不登校新聞に編集者の意見として載っていたので紹介しています。
「不登校の要因を再考する」というタイトルで書いている記事です。
「不登校の要因の無気力不安という頃目に私は長年この項目があることに大きな問題だと考えてきた。子どもは勝手に「無気力・不安」になるのだろうか。なにより『無気力・不安』とすることは『不登校の要因は子どもにある』と見なすことと同じではないだろうか。子どもが『無気力・不安』にならざるを得ない背景に学校側の問題があるという視点が欠落しているということを如実に語っているのが『無気力・不安』という頃目だろう・・中略・・・不登校とは、現在の学校に対する子どもたちの『NO』という意志表示であり『学校は変わらなければいけない』という問題提起でもある。つまり不登校で問われているのは子どもではなく、私たち大人なのだ・・・・・』 と結んでいます。」
私もずっと、その項目はおかしいと思っていたので、同じ考えをしている人がいると、 心強く思いました。今、変わらなければいけない、問いなおす必要があるのは学校であり、教育界全体の問題だと感じています。
しかし、今年度 29万9千人に増えたという朝日の記事に大学教授のコメントが載っていたのですが 「学校が変わらなければいけない」という視点はまったく見えないのです。 大阪公立大学の山野則子教授(子ども家庭、福祉)の話とする、そのコメントをいくつかにまとめると①不登校の増加はコロナの影響と見ていると言い切っています。コロナがなかったら増加はないとしているのですが、そうなのでしょうか。②次に挙げているのが家庭の経済不安が子どもにストレスを与えているというのですが?マークです。不安のない家庭の子どもも不登校になっています。本当に不登校のことを分析しているのでしょうか。③不登校を支援する人が圧倒的に不足している。ソシャルワーカーやスクールカウンセラーを増やすことが急務だとしていますが増やしたら、不登校はなくなるのでしょうか。
つまり不登校が増えていくことについて「今の学校、教育体制」を問い直してみるという視点はなく、子ども家庭がもっとしっかりすべきだというコメントに聞こえるのです。不登校が30万人になっても、なぜどうしてと、子ども、親の側に立った視点が見えないのは本当に悲しいことです。外堀を整えても、不登校はこれからも増え続けていくと思います。子ども、親に寄り添った視点を大切にする取り組みに変換すべきだと思うのですが、行政側はそう考えていないように思ってしまいます。「無気力・不安」の頃目は来年検討されるという話ですが、「無気力」はなくなるのでしょうか?
同じ号の不登校新聞に「私の子が不登校になって」というコラムが載っていました。
そこから、親の思い感じていることを紹介します。
「娘が学校へ行かなくなったのは、入学した高校がコロナで遅れて行なわれた入学式で休んで以来登校できなくなったのです。せっかくの第1希望の高校なのに、まさか入学早々行けなくなるなんて驚きと、つらさ、そして、行かない娘を憎く思う気持ちがありました。・・・
その後娘は通信高校へ転校。 ユーチューブ、ゲームテレビドラマの毎日・・・娘の不登校のことを振り返ってみると、朝怒鳴つけて起し、行かないと言われるとため息をついていました。親としてよくなかったと思っています。
小中学校では不登校ではなかった娘ですが、友だちができなかったり、熱血先生が苦手だったり、娘にとって学校はつらい場所だったのだと思います。私と主人が経験してきた学校生活とはちがっていますが、「それでいいのだ」と今は、私はその娘を尊重できるようになりました。・・・」と語っています。
自分が生きてきた枠をそのまま当てはめるのではなく、子どもにも子どもなりの生き方 があるのだと気づき、今は娘を尊重できるようになりました」と。
なんで行かないのと娘を責め憎くさえ思ったという母親ですが、子どもの気持ちを 尊重できる親になれたと話しています。親が本当の娘の味方になることの大変さと大切さを学べたように思いました。
今、学校は先生が足りなくて困っています。若い先生がやめてしまうのです。そして、大学3年の学生を横浜で、60人ぐらい予約したという記事を見ました。川崎でも20人ぐらい予約しているそうです。学校は今働きづらい職場なのです。先生が生きづらいのですから子どもはもっと生きづらい学校になっています。先生もそして子どもも楽しい、面白いという学校に、教育のあり方を見直すことなしに「無気力」と子どもの責任にするだけでは、不登校はさらに増え続けていくと思うのです。そんな中、まず親が子どもの味方になることの大切さ、親が元気になることの大切さを思っています。
2023年10月中旬 竹内春雄