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【コラム】「進路」を考える 2023年2月

公開日:2023年02月04日 最終更新日:2023年02月06日

「進路」を考える   中村岳夫(どじょっこの会)東久留米市

2023年2月の竹内先生のコラム(お手紙)です。自筆を大切にしたいので、PDFファイルを張り付けます。

竹内先生のコラム 2023年2月 (1.3MB)

 

以下は参考。テキスト化したものです。

「進路」を考える   中村岳夫(どじょっこの会)東久留米市

「進路についての学習会」でお話している中村岳夫さんの文章に出会いまし た。その文を読みながら、なるほどと思ったことを以下に紹介します。

先ず中村さんは受験についての中3の子どものつぶやきについて提案しています。『13歳受験のことは考えなかった。14歳少し受験のことを考えた。15歳受験のことで頭がいっぱいになった。時々学校が爆発して、みんないなくなればいいと思った。数学も英語も全部なくなればいいと思った。学校から家に帰る。制服のまま塾へ行く。かばんの中の手作りのおにぎり。時間がたってて、冷たいけど母のぬくもりを感じます。「頑張ってね」 「頑張れよ」「頑張れ」みんなに答えてやりたい「頑張っとるわ!!」・・・・と』

子どもの実感のある言葉が伝わってきます。そして、自分の進路と向き合 うことは、自分の"これまで”や“これから”と向き合うことです。特に思春期 の彼ら彼女らを前に教師や保護者が注意しなければならないのは単に「どこを受ける」「どんな学校が受かりやすい」という受験、進路指導に終わらせてはいけないと書いています。そして、「あなたはそもそもどうして進学したいのですか」「進学して何を学びたいのですか。」 「あなたは、どんな人生を歩みたいのですか。」という問いをふくらませながら「受験」や「進路指導」への不安や悩みに寄り添うことが求められているのですと。私もその通りだなと共感しました。

そして進路には「外側の進路」と「内側の進路」があると提案しています 「外側の進路」とは、今学校で行なわれている進路指導のことです。成績によって進学する高校、大学を進めるという技術的、具体的な指導のことです。 「内側の進路」とは、そもそも自分の“これまで”や“これから”に真摯に向き合い 自分の人生観や世界観を耕やしていくことこそ思春期青年期にもっとも重視されるべきで、そういう側面を大切に考えていくことが「内側の進路指導」 だとしています。

「外側の進路」だけで進学、就職した人たちが、その後、当初の目標に到達したとしても自分の生き方を考えた時に本来の目的を失ったり、燃え尽き てしまう例は少なくありません。一方「内側の進路も視野に入れ、自分と 向き合いつつ、進路就職した人は、たとえ第1志望に落ちて第2、第3 希望に回っても、自分を失なわず、次の一歩を踏み出せることが多いと思うのです。と語っていますが自分と向き合っていくことの大切さ、それを恐れずそこと向き合っていく勇気と、それを応援していく大切さを考えさせられました。

そして、その思春期青年期は「もう一人の自分」に出合い葛藤しながら成長していくのですと、提案しています。

「人は二度生まれる。一度は存在するために。二度目は生きるために。」と ルソーの言葉を例にしながら語っています。

つまり「第2の誕生」とは自我の芽生え「自分の内側にあるもう一人の自分を意識するようになることから始まる」としています。それは中学校であり 高校へとつながって大人になっていくのですと。今までは、大人の庇護の もとで生活していた子どもの中に自我が芽生え、自分を見る「もうひとりの 自分」が自分の中に立ち上がっていくことで、自分についての認識が深まり 自分の外の世界を新たな視点で見ることができるようになっていくことな のです。だから「外側の進路」だけに一喜一憂せず、「内側の進路」を 大切にしていきたいと続けています。そして、それは一直線に成長していくのではなく、らせん階段のように右往左往しながら上昇していくのですと。

だから上から目線の説教ではなく、子どもの思いを受けとめ「そうか、そうか 」「そう思っているの」「あなたはどう考えているの」など応答に心がけることが大切なのですと語っています。押つけは禁物です。

そして千原ジュニアさんの例を挙げています。(不登校だったときのことを 「14歳」という本を出版しています。そこからの抜粋です。

僕は今戦っているんだ。僕はあしたのために、この部屋の中にいるんだ。 学校に行ってたんじゃ時間が足りない。僕は今僕がこの先進むべき道を慎重に選んでいるんだ。逃げているんじゃない』と不登校でかたくなに部屋にひきこもっていた。実体験を記述し、引用しています。そして彼もまた。 「もう一人の自分」と激しく葛藤していたのです。

不登校やひきこもりの子たちは人一倍感受性が高く、自分のペースで自分と向き合っていたのだと思います。こうした右往左往を繰り返しながら「ありのままの自分で良いのだ」という自己肯定感を見い出し、少しずつ社会へ目を向け、つながっていく力をつけていくのではないのでしょうか。「進路選択で一番大切なこと は外側の進路」にたどりつくことではなく、右往左往しながらもう一人の自分と向き合い「内側の進路」を深く耕していこうとする過程が大切なのだと思いますと。......とまとめています。子どもが「つまずき」に出会ったときこそ、自分と問答し、自分の道を見つけ出そうとしている子どもに安心して... 自分と向き合い悩めるように、援助し、支えていくことの必要性を改めて考えました。

20231月中旬 竹内春雄

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