【報告】第13回全国手をつなぐ育成会連合会権利擁護セミナーin石川
11月1日(火)権利擁護セミナーin石川にオンラインで参加しました。今回のテーマは「あなたも私も、望む暮らしを続けたい」~地域生活支援拠点って何ですか?~です。
初めに、行政説明として「地域生活支援拠点等事業について」という内容で厚生労働省障害福祉専門官の松崎貴之氏の話がありました。障害児者の増加、高齢化、重度化に伴う障害福祉サービス関係予算額は15年間で約3倍に増加しているとのこと。そのような中で、地域で安心して暮らしていくための居住支援には、地域生活支援の拠点等の整備は欠かせません。しかし、令和3年4月時点で全国の市町村で整備されている割合は52.9%と決して多くはありません。国から様々な方針を打ち出されていても、実際に行うのは各自治体であり、また施設整備されても、それをしっかり機能させていくにはどうしたら良いか。その課題を考えていくうえで、様々な工夫をされている事例が紹介されました。
栃木県栃木市では、市役所障害福祉課障がい児者相談支援センターを中心に「栃木市くらしだいじネット」という地域生活支援拠点を立ち上げています。“だいじ”とは栃木の方言で“大丈夫・大切”という意味があるそうです。特筆すべきは、緊急時支援事業を栃木市障害福祉課が担い、24時間365日携帯電話による緊急連絡体制を確保している点です。安心・安全な支援に繋げるため、事前に情報収集するための事前登録制にされているとのこと。また、地域の体制づくりのため自立支援協議会と連携し、地域課題の把握や対応策、支援体制を検討しているそうです。
石川県金沢市の事例では、金沢市障害者基幹相談支援センターの取り組みが紹介されました。金沢市では、サービス等利用計画の計画相談の実施率は99%でセルフプランはたった1%だそうです。また、令和2年10月からは、所謂「サービス等利用計画・障害児支援利用計画」を、これまでの日々に暮らしを支える支援に加え、親なき後や将来を見据えた「Myライフプラン」や災害時や緊急時等を想定した「クライシスプラン」を加えた「かなざわ安心プラン」にグレードアップしたとのこと。「かなざわ安心プランは、単なるサービスを使うために作成するものではなく、障害のある人や家族、支援者が将来望む暮らしのイメージについて具体的に考え、それを実現するために必要なさまざまな社会資源について知り、実現に向けて何ができるかを考える機会となるためのもの」という説明が強く心に響きました。金沢市でも、地域課題の解決のため、自立支援協議会を連携しているそうです。
鹿児島県鹿児島市にある社会福祉法人ゆうかりでは、多機能整備拠点施設を整備、1階に生活介護事業所と鹿児島市障害者地域生活支援拠点、2階にグループホームと相談支援、安心コールセンター、3階にグループホームと短期入所事業所があります。安心コールセンターでは、拠点支援員として宿直1名を配置して24時間対応されているそうですが、これについては市内16法人と協力連携の協定を締結しているとのこと。しかし、管理者が休めないという課題があり、拠点のコーディネーターを増やす必要があると話されていました。
これらの事例を聞いて心強く思うと同時に、障害児者が地域で安心して暮らしていけるための同様の取り組みが、全国に広がることを願ってやみません。川崎市では、現在計画相談からセルフプランへの移行を進めていますが、是非とも再考していただきたい!と思いました。
この情報は、「川崎市育成会手をむすぶ親の会」により登録されました。