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2.意見書等

公開日:2021年12月17日 最終更新日:2022年01月06日
タイトル
2.意見書等

詳細

(1)川崎市環境基本計画年次報告書(2009年 度版)に係る市民意見(2010.3.2)

ア、二酸化窒素の対策目標値は、下限値(日平均0.04ppm)も含め達成されるべき。
イ、浮遊粒子状物質の環境目標値の全局達 成と微小粒子状物質(pm2.5)の観測体制 の整備を。
ウ、光化学スモッグ発生メカニズムの解明 と原因物質の排出削減を。
エ、固定発生源の許容排出量の見直しを早 急に実施すべき。
オ、大型ディ-ゼル車の通行規制し、自動 車に頼らない交通手段への転換を。
カ、市内の二酸化炭素排出量の9割以上を 占める工場・事業所に対する削減強化。
キ、その他-緑化の推進・水辺と水路を取 り戻す。乱雑な高層住宅建設は中止と床 面積の総量規制。公害健康被害対策。

(2)東電川崎火力発電所2号系列 2・3軸増設計画に係る環境 影響評価方法書に関する意見
 (2010.3.2)

ア、臨海部では、扇島パワ-・ 川崎天然ガス・JR東日本な どの火力発電所の新増設がど んどん進められている。これ 以上の増設は慎重に。どうし ても必要なら無公害・温暖化 を生じさせない方法をとるべ き。
イ、効率のよい最新式の発電方 式の採用は評価するが、パワ -アップにより窒素酸化物や 二酸化炭素の排出が増大する のであれば問題だ。また、再 生可能エネルギ-の比率を高 めること。
ウ、動植物だけでなく人の健康 調査も実施すべき。二次生成 物質や微小粒子等による汚染 のアセスも実施を。

(3)(仮称)川崎市地球温暖化対 策条例の基本的考え方につい ての意見(2009.7.23)

ア、事業者の提出する計画書に は、工場・事業所ごとの削減 目標と達成計画を加えるこ  と。
イ、臨海部から発生する膨大な 余剰エネルギ-の利用計画、 太陽光(熱)や風力・雨水の 活用。
ウ、温室効果ガスの地区別許容 排出量を定め、これを上回る 開発は原則として認めない。
エ、その他-化石燃料の自動車 から電気自動車等への転換。 山林樹林地等みどりの喪失に つながる開発の中止。


(4)放射線量調査等に関する、川  崎への申し入れ書2012.4.24)

前文(略)
1.公園や学校などの公共施設
 で、3回目の測定をする必要 があるのではないでしょう  か。昨年6月と10・11月 調査を比較しても測定値に増 減があり、これでおしまいと いうことにはなりません。早 期に計画して頂きたい。
2.民間の所有地・管理地であ っても、市民の健康を守るた めには、遊園地やショッピン グセンタ-など人の出入りの 多いところは、実態調査をす る必要があります。行政とし て関係者を指導していただき たい。
3.私たちの今回の調査で、た またま見つかった高濃度汚染 地-等々力公園などの除染を 早急に行ってください。
4.市内全域で簡易測定器を使 用する場合、求める市民団体 等に対し、7区の区役所のう ちどこでも貸し出しができる ようにして頂きたい。
5.子供を持つ母親たちから、 健康への影響・被害について の訴えが出ています。保健所 等に「健康相談」の窓口を設 置し、希望者には血液・尿検 査などの検診体制を作って頂 きたい。

(5)「2012年度版・川崎市環境基本計画年次報告書」に関する意見             2013年2月26日提出       川崎から公害をなくす会

1.施策・政策の評価について
  ・大気環境の評価について  は、対策目標値だけでなく環  境目標値についても考慮すべ  きです。
・温暖化の評価については、基 準年度である1990年度の排出 量が、その後変更されている  (温室効果ガス排出量で2,537 万tが2,922万tに) ことも考慮 すべきです。 
・ヒ-トアイランドの指標につ いては、「現状維持」となっ ているがこれでは、今後の対 策は不要ということになって しまうのではないか。 
・緑や水循環・生物多様性につ いて評価するには、市の南中 部にもある程度緑や水循環・ 生物多様性が存在しているこ とが前提でなければならな  い。全市の評価とするには、 少し無理があると思う。

2.温室効果ガスに係る排出量 の数値が、2009年度のもので しかも暫定値となっており、 古すぎます。これは、国の調 査結果により得ているからで あり、市独自に調査及び推計 する必要があるのではない  か。工場・事業所について  は、市公害防止条例の規定に 基づいて報告を求めることが できます。

3.地球温暖化防止だけでな  く、都市気温の上昇(ヒ-トア イランド)を防ぐためにも、市 内で二酸化炭素の濃度を観測 する必要がある。本年2月開所 した、環境総合研究所の地域 環境・公害監視課の業務に  は、新たに「地球温暖化」が 加わった。従って早期に測定 を開始し、結果を市民に公表 すべきです。

4.二酸化窒素の目標について は、対策目標値の全局達成か らという段階論でなく、いま すぐ「下限値0.04ppmまたはそ れ以下」を真正面に据えて対 策を進めるべきです。そうす ることにより、環境目標値  (0.02ppm)達成の目途が俎上に 上がってきます。

5.市民の関心が高い微小粒子 物質(PM2.5)については、引き 続き全測定局への測定機の設 置をすすめることが必要で  す。なお、2011年度に設置し た測定機(4局)に不具合が生  じ、有効な測定値が得られな かったが、測定機の保守管理 について尚一層の注意を払っ てもらいたい。

  事項へ 続く

前項、2012年度版・年次報告書に関する意見 の続き

6.自動車からの大気汚染は一 定改善がされていますが、幹 線道路を中心にまだ厳しいも のがあります。よって、引き 続き交通量の削減や低公害車 の普及等、関係者とともに推 進してもらいたい。
 また、交通規制するにあたっ て、二酸化窒素の対策目標値 につき1時間値を設定すること も検討すべきです。

7.市内交通事故数に占める、 自転車事故の割合が年々増加 しています。歩行者事故をな くすためにも、もっと自転車 道や駐輪場の整備を進めてほ しい。

8. 市南部では、東電火力発電所 等の新増設が進んでいます  が、高濃度汚染・複合公害が 続いているなか公害物質排出 の増加はあってはなりませ  ん。現状の企業・事業所から の排出実態を踏まえ、もっと 許容排出量を厳しく見直すべ きです。さらに、大規模開発 に係る環境影響評価につい  て、市民の健康と環境を守る ため、立地のあり方を含めも っと実効あるものにして行く べきです。

9.市庁舎前の大気電光表示盤 が、老朽化及び公害監視セン タ-移転により本年1月廃止 されました。大気汚染(1時間 値)の表示は、表示汚染物質の 拡充を含め、引き続き市民へ の啓発・環境教育の上から  も、屋外で市民等に知らせる ことが重要です。今後、例え ば最新の大型ビジョン等を市 内の各区役所・主要駅等・繁 華街などに設置して行くべき です。

10.健康被害対策に関し、前 回市民意見の対応措置の中で「一般的に気管支ぜん息の要因 としては、大気汚染のほ   か・・・」と、大気汚染が原 因であることを認めているの だから、「市のぜん息患者対 策は、アレルギ-対策の一環 になっている」との規定は、 速やかに改めるべきです。

11.本年(2013)4月より、温 暖化対策の一環としていわゆ る「川崎メカニズム」がスタ -トすることになっていま  す。市内で生産された省資源 製品が国外に普及することは 結構ですが、その分企業の市 内における削減目標量が減る ことについては、公害対策の 後退でありあってはならない ことと考えます。温暖化防止 条例の計画・報告書には、市 内排出量と海外貢献量の2つ を厳格に区別して、記入させ ることが必要です。

(6)工場・事業所からの二酸化炭素の抜本的削減に関する 提案

川崎市長・環境保全局長・同環境対策部長宛て /2014年12月24日提出

=前文概要=
①市内においても、真夏日や集中 豪雨の頻発等、デング熱の発生 など健康被害が現実のものと  なっている。
②このような主因は、人為的な温 室効果ガスの大量排出。IPCC  は、21世紀末までに排出をほぼ ゼロにすることを要するとして いる。工業化以前と比べ、気温 を2℃未満に抑制する猶予期間 は約30年しか残されていない。
③最近の市内の二酸化炭素排出量 は約2400万t(2011年度)と発表 されているが、二酸化炭素を公 害物質として試算するならば市 内全体の95%を占める。私たち 住民の測定によれば南部で高い 濃度が記録されている。
④かけがえのない地球・次世代の 生命を守るため、川崎市は国の 動きを待つのでなく地域から他 自治体に率先して取り組む必要 がある。市内工場・事業所の二 酸化炭素の排出量をこれまでの 行政の経験を生かし、公害対策 の手法により抜本的に削減する ことが肝要と考える。発想の転 換と意欲さえあれば実施できる ものばかりである。

=提案内容=
1大手工場等に対し許容排出総量 を割り当てることを前提に、自 主的削減とあわせ総量規制をす すめる。
2市内の複数地点において、二酸 化炭素の測定を行いその結果を 公表する。
3大気自動監視システムを使っ  て、煙突の出口で二酸化炭素排 出濃度を測定し、その結果を市 民に公表する。
4工場・事業所の敷地境界線にお いて、少なくとも年4回・複数 地点で二酸化炭素の測定を行  い、市に報告させるとともに市 民にも結果を公表する。

     (2014.12.28)

(7)2015年度版・川崎市環境基本計画年次報告書に関する 意見 
(2016年3月22日提出)


1. 今次の報告書では、初めて
 第 1章の中に新しく「川崎市 における環境施策のあゆみ」が 加筆されたが、大気については 二酸化硫黄濃度の改善のみの記 述に終わっている。二酸化窒素 や粒子状物質など他の大気物質 についても、どうなっているの か課題を含め簡潔にまとめて欲 しい。
2. 大気質の指標6項目の中に、「自転車道総延長と駐輪場数」が あるが、大気汚染の改善のため には「自動車保有台数と走行距 離」の方が指標としてふさわし いのではないか。自動車の使用 をやめることと自転車に乗るこ とは直結しないと思う。駐車場 届け出件数は、14年度版の   6,835件から15年度版では9,832 件へと増えている。
3. 環境政策ごと達成の、「総合
的評価」が一人歩きしないよう
にすべきだ。例えば、「安心し
て健康に暮らせるまちをめざ  す」についても、大気環境の保 全 と水質・土壌等や化学物  質・騒 音・振動とでは、健康 への影響 はそれぞれ大きく異 なる。達成 率14%の微小粒子 状物質の、指 標評価が最高に 良い「5」とさ れているのは 合点がいかない。
4. 窒素酸化物排出量(工場・事業 場)も、「対基準値で少ない」 等から「5」という最高評価に なっているが、これは現行の総 量規制基準が現状に合わずいつ までも見直さないでいるから  だ。政策の在り方も見直してい く必要がある。 
5. 未規制物質となっている、  PM2.5については調査研究段階 から一刻も早く削減対策の実施 に進めるべきだ。そのために  は、環境目標値(年平均値)が全 局未達成になっている、浮遊粒 子状物質(SPM)の削減対策を強 めることも有効だと考える。
6. 化学物質対策については、す でに2018年度までに30%削減(2008年度対比)が達成されてい  る。しかし、有害な物質につい てはゼロにすることがベストな のだから、ひきつづき削減対策 を講じてもらいたい。 
 

《続き》

7. 光化学オキシダント濃度は、 年々上昇傾向にある。これがた め、市の北部で呼吸器疾患が増 加している模様だ。発生機構の 複雑さを口実にしないで、発生 源は分かっているのだから、  もっと有効な抜本 的な対策を 立てるべきだ。
8. 二酸化炭素及び温室効果ガス の削減については、前年暮れ  COP21パリ国際会議の合意をふ まえると、市の目標達成のため には一層の推進が求められる。 排出量公表制度等の点検を行な うとともに、特に排出割合が大 きい工場・事業所に対し、もっ と目に見える大幅な削減が望ま れる。
9. 硫黄酸化物の排出量の推移を みると、窒素酸化物に比べ少な いとはいえ近年増加に転じてき ているように見える。一路減少 に向かわせるべきです。2012年 度の496tが2014年度には696t  に。
10. 市内ではいまも、pH5.6以下 の酸性雨が依然として降り注い でいる。時々、pHが3台の強い 酸性雨もある。このこと一つとっても、「公害」は終わっていないことを確認するべきだ。
11. 「大気汚染」と「健康被害」 を結び付けて、対策を進める必 要がある。我々が市内で簡易測 定しているPM2.5やSPM・NO2の 結果と、ぜん息の有病者数との 間には関連性が認められた事例 がある。
12. 市民も行政・議会・企業も、 長い公害問題に向き合ってきた 歴史がある。今後の公害・環境 行政に生かし、若者や次世代の 人々の生活に役立てるため、仮 称「公害資料館」を造り貴重な 資料等を保存する必要がある。

(8)「JFE扇島火力発電所更新計画 環境影響評価準備書」に対する意見書   (2016年3月16日提出)

(大気質)
(1) 微小粒子状物質(PM2.5)  を、環境影響評価項目に選定し ないのは承服できない。1号機 から3号機の合計で、窒素酸化 物が1,148t、硫黄酸化物が   206t、煤塵が187tとそれぞれ大 量に排出する計画(説明会にお ける回答)であるというのに大 問題である。環境基準が定めら れて、6年半にも経つのに選定 しないのはどう考えてもおかし い。いまや、微小粒子状物質  (PM2.5)が健康被害の主役に なっていることへの認識が希薄 であると云わざるを得ない。
(2) 二酸化窒素(NO2)の環境基準 は、日平均値の0.06ppmを達成 しさえすれば良いかのような説 明になっているが、当時の環境 庁専門委員会が扱った疫学報告 書で、日平均値0.04ppm以下の 場合でも被害が生ずるとしてい る。だから、川崎市も条例で環 境目標値として日平均値    0.02ppmを掲げ、現在の対策目 標として「日平均値0.04ppm又 はそれ以下」としているのであ る。日平均値の0.06ppmを目標 としたのでは、環境保全の改善 に繋がらない。
(3) 発電用燃料の使用量につい  て、現状と将来の合計を比べて みると重油を約半分とし、都市 ガスも減ることになっている。 他方、3種類の副生ガスの使用 量は全く同じである。JFEスチ -ルは、川崎市内で二酸化硫黄 の排出量がトップ企業なのだか ら、都市ガスの量をもっと増や し2・3号機の重油の使用をなく すなど、副生ガスとのバランス を公害削減の観点から改善すべ きである。

(4) この際、2・3号機に係る窒素  酸化物や硫黄酸化物の排出濃 度についても、1号機並みにもっと大幅に改善すべきである。
(5) 大気の予測評価について
 ① PM2.5についての予測評価が されていないのは問題である。

《続き》

②「川崎市の地域別環境保全水準 である、『環境基準等を越えな いこと』に整合しているものと 評価する」としているが、
ア、二酸化窒素の年平均値の予測 結果は、将来濃度は環境基準相 当値の下限値(年平均値    0.019ppm)を越えており、また 浮遊粒子状物質の将来濃度も市 の環境目標値(0.0125mg/m3)を 越えている。
イ、二酸化窒素の日平均値の予測 結果は、将来濃度は環境基準の 下限値(日平均値0.04ppm)を越 えており、また浮遊粒子状物質 の将来濃度も市の環境目標値  (日平均値0.075mg/m3)-実測高 濃度日-を越えている。
③ 2009(平成21)年度の大師局  で、二酸化硫黄の1時間値   0.1ppmが2時間超過したことが 記載されている。特殊気象条件 下の予測については、過去の二 酸化硫黄濃度の環境基準値(1時 間値0.1ppm)超過の事実につい ても検証すべきである。当日の 気象条件などは以下のように  なっていたが、いずれも風上に は、事業者を含む大規模工場  製・事業所などがある。
・ 2009年5月12日11時 大師測定 局 1時間値0.169ppm 南南東 の風4.3/s
・2009年8月12日22時 大師測定 局 1時間値0.132ppm 南の風 3.7/s

(温室効果ガス)
(6) 二酸化炭素の排出量は、合計 で現状の178.36万t-CO2/年 から将来は170.93万t-CO2/ 年へ、ほんのわずかな削減にと どまっているが、昨年末のCOP パリ会議の合意事項から見て、 事業者として自主的に、もっと 大幅に削減すべきである。既設 の2・3号機は一定程度削減させ るとしながら、新設の1号機は2 倍近く増加させるのは問題であ る。
 (景観)
(7) 煙突が、さらに1本増えるの は仕方がないと思うが、主配色 がライトグレ-とは周辺のス  モッグとの調和を考慮したかの ようで気になる。煙突からの大 気汚染の排出が問題とならない くらい、煙突を低くして景観を 良くすることはできないのか。
(事後調査)
(8) 大気質及び水質について、常 時監視を行うとのことだが測定 結果等については、事業者のホ -ムペイジ等に載せ速やかに市 民に対しても公表すべきであ  る。

《続き》

<川崎市条例対象項目関係に対する意見>
(1) (緑について)
  緑化計画に基づく樹木の本数 は、中木と低木については「川 崎市緑化指針」を満たしている が、高木については6本足りな いとしている。不足分は低木で カバ-しているが、臨海部の地 域特性からみて、全体の緑の構 成のうち高木の占める割合を少 なくとも半分以上占めるように しても良いのではないか。
(2) (安全について)
  東日本製鉄所(千葉地区)にあ る、コンバインドサイクル発電  所が事故を起こしていないか ら、また同様の対策をとるから 安全だと評価するのは、住民サ イドからみると不安をぬぐえな い。先の大地震により発生した 液状化等に対する万全な対策が 求められる。
(3) (環境配慮項目について)
  市内の酸性雨の実態をみる  と、いまだにpH3台の降雨が発 生している。最近の2015年では 殿町の環境総研で2回、麻生測 定局で21回となっている(但し 回数は初期と全降水の計)。年 間平均値の推移をみても、改善 傾向が見られていない。よっ  て、電力を含む製鉄所からの硫 黄酸化物や窒素酸化物等の大幅 削減の努力を望む。

(9)声明-
川崎市は二酸化窒素対策につき、ただちに「日平均0.04ppm」の達成期限を設定せよ!
=市民は、当初の設定(1985年末)から30年以上待たされている= 2016/9/5

以下に、声明文の要約を掲載します。全文は事務局へ。

1.川崎市は、この程二酸化窒素の 対策目標値(日平均値0.04~  0.06ppm)が全測定局で達成され たとして、10月にも市長告示で 「平成23年度から平成27年度の 早期」と定めていた「達成期  限」を削除しようとしていま  す。
  いま重要なことは、ただちに 「日平均値0.04ppm」の達成期 限を定め、これに向けた有効な 対策を打ち出すことである。
2.市の環境基本計画では、すでに 全測定局で上限値の0.06ppmが 達成された後は、「下限値の  0.04ppm又はそれ以下をめざ  す」とされており、毎年公表さ れている年次報告書でも確認さ れている。因みに、神奈川県は 日平均値0.04ppmに相当する  「年平均値0.02ppm」で対策を 進めている。
3.1978年7月の環境基準緩和は、 公害被害者・住民はもちろん多 くの科学者・学者や自治体・マ スコミ等から厳しい批判と抗議 をうけ設定されたもの。国会で は専門委員会の委員長が改定す る必要ないと意見を述べてい  る。その後、国は上限値達成の ため達成期限を相次ぎ先送りす るもすべて失敗、市も2000年  国の基準値と同じ数値を「対策 目標値」として設定したもので ある。
4.いま、気管支ぜん息患者等公害 被害者が市の北部を中心に増加 している。大気汚染もその主要 な原因物質であり、窒素酸化物 は微小粒子状物質(Pm2.5)や光 化学スモッグの原因の一翼を  担っている。この間、自動車か らの汚染はかなり低減したが、 工場についてはさらに大幅な削 減が必要である。公害被害を無 視・軽視した「公害克服」キャ ンペ-ンは間違っている。
 市民の生命・環境を守るため、  川崎市は「日平均値     0.02ppm」の環境目標値達成を 目指すとともに、当面一日も早 く「日平均値0.04ppm」の達成 年度を設定し必要な対策を講じ るべきである。

    (2016.9.9)





















  

(10)2016年度版・川崎市環境基本計画年次報告書に関する 意見 
(2017年3月1日提出)
以下要約
1.二酸化窒素は、環境基準(対策 目標値)の上限値については一 応達成されたのだから、今後は 下限値の0.04ppm(日平均値)を 目指すべき。
2.光化学スモッグ注意報や酸性雨 が降って位の之だから、ひきつ づき窒素酸化物や硫黄酸化物の 削減を進めなければならない。
3.PM2.5の評価の充実を図るため にも、残る一般局(1か所)と自 排局(3か所)の測定を完備する 必要がある。
4.SPMの環境基準は達成されたの が環境目標値(年平均値)は未だ なのでひきつづき削減を進める べき。
5.PM2.5やナノ粒子など、最近の 大気汚染物質は肉眼では見えな い。よって、かつての電光表示 盤のように戸外における大型の 分かり易い表示盤の設置を検討 すべき。
6.ぜん息などの健康被害が増加し ている。もっと原因を究明する とともに公害予防部門の拡充が 必要だ。
7.二酸化炭素及び温室効果ガスの 大幅削減は待ったなしの状況に ある。特に排出割合が大きい工 場・事業所に対し、もっと目に 見える削減が望まれる。
8.行政のほか、議会・企業・市民 など、各分野が保有する貴重な 公害問題についての資料を収集 保管し、今後より良い川崎を築 いていくため仮称「公害資料  館」を造る必要がある。
9.「緑の保全・創出・育成」の重 点課題について、減少に歯止め がかからない樹林地を加えるべ き。
10.産業廃棄物等の推進の指標評 価は前年度と同じなのに、方向 評価が上昇している理由は何  か。
11.放射線の常時監視の結果につ いての記載を。
12.概要版の大量普及を。

*毎年の市民意見及びこれに対する市の対応措置については、年 度末の報告書に記載されていま す。

(11)2018年度版・川崎市環境基本計画年次報告書に関する 意見 
(2019年3月23日提出)

以下要約
1.二酸化窒素は、今後環境基準(対策目標値)の下限値の0.04ppm(日平均値)を評価の基準にすべきです。これが実現されるよう、工場の許容排出量の見直しなどの具体的な削減対策をたてるべき。

2.光化学オキシダントが改善されず、光化学スモッグ注意報の発令も続いている。ひきつづき固定及び移動発生源対策を強化し原因物質を減らすべきです。

3.未設置となっている残りのPM2.5に係る常時監視測定局(一般局1か所と自排局2か所)の設置を一日も早くすすめデ-タの公表を進めるべきです。

4.我が国の微小粒子状物質に係る環境基準は米国の環境基準やWHOの指針値に比べても甘い。健康被害が続いている状況にかんがみ、市独自でさらに厳しい対策目標値ないし指針値の設定を④検討すべきです。

5.戸外における大気汚染濃度について、JR川崎駅に設置されている大型電光表示板などを活用して知らせるべきです。

6.温暖化の進行により真夏日の増加など市民の生活はますます危険にさらされ、昨年の熱中症は前年の2倍以上となっている。情報をきめ細かく提供し年次報告書に載せるべきです。

7.大工場や大規模集合住宅ごとの二酸化炭素排出量と樹木等による吸収量を試算させ公表させることにより、工場緑化・屋上緑化・都市緑化の必要性の機運をさらに認識させるべきです。

8.二酸化炭素など温室効果ガスの排出削減に当たっては、窒素酸化物など他の大気汚染物質と同様に、「公害規制」すべきです。

9.前回の市民意見の対応措置の中で、気管支ぜん息は「アレルギ-疾患対策法」でアレルギ-疾患と位置図蹴られているとのことだが、公害健康被害補償法としても位置付けられていることを無視してはいけない。

10.環境局は法令にもとづき熱心に、大気汚染物質を調査し発生源に対する削減指導をしている。ところが大企業などは工場夜景観光などの中で、「煙突の中から出ているものは水蒸気だ」と宣伝している。それならば、大気汚染物質はどこから出しているのか説明させる必要がある。

(12)「環境情報」誌による“大気汚 染公害改善(克服)キャンペ--ン”に対する意見書 (2019年6月24日提出)

(川崎市環境局から発行されている「環境情報」誌のうち、本年1月号・3月号・6月号に関して、次のような意見書[但し、ここでは要約]を提出しました)
 
①煤塵も、二酸化硫黄も40年以上も前に基本的に改善されています。過去の公害改善の歴史は、仮称「公害資料館」を開設して展示すればよいこと。環境局はもっと、目の前に山積している大気汚染公害の改善・根絶に取り組むべきです。

②測定値や環境基準の達成だけで、公害が改善されたとか空気が良くなったと判断するのは間違いです。二酸化窒素について言えば、上限値の日平均0.06ppmは産業界が無理やりねじ込ませたもので全く科学的根拠に欠けるもの。だから、川崎市はいまも改悪前の日平均0.02ppmを堅持しており、当時0.04ppmを中間目標値としていたのです。

③そもそも大気汚染の測定は、公害被害者を出さない環境に回復することが最大の目的です。測定値の低下がみられるとされるものの、公害被害は大幅に改善されているとの証拠はありません。毎年の気管支ぜん息患者は、約20,000人を数えています。

④いまだに、測定体制の不備を抱える微小粒子状物質・光化学オキシダント・酸性雨・有害化学物質等の改善が求められる中、緊急の課題は温暖化。「熱中症」という公害被害が深刻化しており、煙突で二酸化炭素を抜本的に削減することがどうしても必要です。

⑤早く、公害都市のイメ-ジを払しょくしたい気持ちは理解できなくはないが、イメ-ジを変えたからと言って公害そのものが無くなるわけではありません。環境局は、開発や観光担当部局にひきづられないで、もっと市民と住民の生命と環境第一に考える行政を進めてもらいたい。

(13)川崎市の環境副読本に関する
提言  (2019年11月1日提出)

以下、骨子を紹介します。
1.標題は、「環境副読本」でなく「公害・環境副読本」とする。
 川崎の公害は、一部に改善がみられる物質があるものの、窒素酸化物・光化学オキシダント・微小粒子状物質・ナノ粒子・酸性雨など、いまもなお深刻な状態にある。ぜん息患者数は22,659人(2018年度)と過去最高の増加となっている。また二酸化炭素の上昇により、猛暑日や熱帯夜が増え、異常気象の結果大型台風や洪水が頻繁に起こるようになり、熱中症などの増加はいのちを一層危険にさらしている。

2.構成(目次)は大きく、以下のように組み立てる。
・はじめに (1)公害(大気汚染・地球温暖化)をなくそう (2)生活に関わる公害・環境問題に目を向けよう (3)緑と生態系の保全をすすめよう (4)たった一つの地球を守るには ・もっと学びたい人に

3.現行副読本(2019年3月版)のうち、公害に関する記述についての意見と要望
(1)大気汚染に関して
 ①子供が公害病でなくなった事実を載せる ②今もぜん息患者が多数発生していることを載せる  ③PM2.5による健康影響の説明を加える ④酸性雨についても載せる ⑤国の公害行政の後退、川崎公害訴訟についてのコラムを設ける ⑥大気汚染の発生源・排出量、総量規制方式を載せる ⑦その他

(2)地球温暖化に関して
①市内の気温上昇を載せる ②産業革命期以降の上昇が、人為的なものであることを知らせる ③世界が2050年に、温室効果ガス排出量実質ゼロになることを目指していることを明記する ④適応策だけでなく、削減対策(緩和策)についても詳しく載せる ⑤世界の温暖化に取り組む市民(子供を含む)の活動を載せる ⑥市民の熱中症等の健康被害の状況についてとりあげる ⑦その他

これらの提言内容が、今後の改定に反映されることを要請。

(14)2019年度版・川崎市環境基本計 画年次報告書に関する 意見 
  (2020年2月27日提出)

以下要約
1.二酸化窒素の環境基準が達成
 されたとしていますが、下限値の日平均値0.04ppmや環境目標値(と同0.02ppm)の達成はまだなので、早期達成を。
2.光化学オキシダントが改善さ
 れていません。すべての原因物質の大幅削減と引き続き固定・移動発生源対策の強化を。
3.未設置となっているPM2.5測定
 器の設置とデ-タノ公表を。
4.我が国のPM2.5の環境基準は、
 米国の基準やWHOの指針値と比べても甘い。健康被害が続いている状況に鑑み、市独自で対策目標値や指標値設定の検討を。
5.大気汚染濃度の速報値公表は、戸外でも実施を。また、夏季の気温も加えるべき。
6.二酸化炭素(CO2)についても、
一般 環境測定局において常時監視を。
7.温暖化の進行により、市内で
も「熱中症」搬送件数が増えている。今後、市民にきめ細かい情報提供し「年次報告書」にも掲載すべき。

8.大規模事業者の地球温暖化対
策計画書は、パリ協定の目標(2050年に二酸化炭素の実質ゼロ)に合致したものとすべく大幅な削減計画とする。また二酸化窒素などのように、新たな「公害規制」の手法を採用する。
9.有害な化学物質が、今も膨大
 に排出されている。現在の基準値は甘いのでもっといものに。
10.汚染物質が抑制されている指
 標として、市営バス利用者数が採用されているが、民間のバスも盛り込んだもりこんだ方が良い。
11.今年度から、麻生区の酸性雨
 の測定を廃止してしまったが環境行政の後退だ。川崎区のほか、中北部にもう1~2カ所観測所があっても良い。
12.大気汚染が改善されない中、
 喘息患者が年々増加している。原因究明が何より重要であり、疫学調査等の拡充を。
13.温暖化型の大型台風により、
 市内でも洪水が発生している。遊水地の整備や自然な地盤の確保・透水性舗装の推進が図られることを期待。

(15)川崎市環境影響評価審議会構成の見直しに関する、私たちの見解及び申し入れ
     (2020年8月7日提出)

川崎市が、現行審議会委員20人のうち、市民代表委員(7人)のなかから団体推薦委員を、次期・本年12月より取り止める方針を示したことに対し、なくす会は以下の「見解及び申し入れ」を行いました。 以下要約です。

(1)全国初の条例として制定された背景には、臨海部を中心とした公害の激増、東電LNG基地・同火力発電所や日本鋼管扇島新工場建設計画があり、当時公害住民団体は市民の生命・健康・環境を守る立場から活発に運動を展開した。ここから建設計画の事前のチエックや予防の重要性が一層再認識された。公害住民団体の諸活動が市環境影響評価制度の「生みの親」と云ってよい。

(2)審議会20人のうち、市民が公募委員の2人のみになってしまうと、条例の精神を大きく崩すことになってしまうのではないかと強く危惧する。

(3)公害団体はこれまで、3つの住民団体による交代制(2期ずつ4年間)により、審議会で活動が進められてきたがなくす会の推薦委員は、地域における公害や環境破壊の実態を取り上げ、他の学識経験者が関心を示さない・問題にしないことなども取り上げるなどして意見の表明をしてきた。

(4)この間、川崎市は「公害は改善・克服された」との立場に立ち、公害が改善されたことを市民にどう理解させるかが当面の課題の一つになっているようだ。しかしこれは、肉眼で見える公害と見えない公害を区別していないこと。国の環境基準の達成を尺度にして評価しているだけで、未達成になっている環境目標値や短期的評価がない公害物質の存在、またいまも2万人を超えるぜん息患者がいること等、について考慮されていないことから不当だ。

(5)今日、公害は地球的規模に広がっている。二酸化炭素は公害物質であり、温暖化・熱汚染・熱中症も広義で公害(被害)といえる。なくす会は、こうした分野の公害についても微力を注いでいる。

(6)よって、此度の環境影響評価審議会の見直しに当たっては、公害団体については引き続き委員が選任されるようにすべきであると考え、ここに申し入れる。住民参加と情報公開は、環境影響評価制度の原則です。


(16)川崎市環境基本計画改定案についての 意見
   川崎から公害をなくす会
   (2020/12/ 8提出)

(1) 目指すべき環境像については、都市に密着した『住み心地の良い街-かわさき』の方がよい。「豊かな未来を創造する地球環境都市かわさきへ」については、むしろサブタイトルにするのが良い。足元の街づくり・市民の活動が、地球環境都市を造ることにつながるものと考えるから。

(2) 基本方針に、「環境は有限である」ことを明記すべきである。これを忘れ無視した結果が、甚大な公害や温暖化などの地球規模の環境破壊を招いてきたことを肝に銘ずるべきである。

(3)脱炭素化の目標として、「温室効果ガス排出量を最終的に実質ゼロにすることの実現を目指す」とあるが、国連や国際社会は2050年に実質ゼロを決め、また市も宣言しているのだから、これに合わせるべきだ。「2030年度までに1990年度比30%以上の削減」とか「さらに100万tの削減」ではなく、速やかに2030年度には40%~50%の削減をする必要がある。原発の廃止はもちろん今後、化石燃料の再生エネルギ-への転換を急速に進めるべきである。

(4) 大気の目標のうち、二酸化窒素のめざす方向が「対策目標値の下限値以下の達成局数の増加」とされているが、これは現行の計画である「対策目標値の下限値の0.04ppm又はそれ以下を目指す」に照らし、明らかに後退であり断じて認めることはできない。また微小粒子状物質について、現行環境基準値は諸外国に比べ甘く精度管理も問題となっているのだから、「全測定局の環境基準達成の維持」のみに終わらせることなくもっと対策の強化が必要である。さらに光化学オキシダントについて、「指標値の低減」の指標値が現行環境基準値と比べ甘いものなら、これを取り上げることは問題である。「生命と健康」優先で、行政を進めてもらいたい。

(5) ぜん息等の呼吸器疾患が増加していること、市民の公害被害等について、もっと重視すべきである。本市も対象調査地域の一つとなっている、環境省の「環境保健サ-ベイランス調査」の分析によると、最近の大気汚染(NO2・SO2・SPM)と健康被害の間に、有意な相関関係が認められるとの結果が出ている。

[前項よりの続き]
(6) 温暖化により、県内でも害虫が増え樹木枯れが発生している。公園緑地面積や市街地における緑化地面積を拡大することはもちろんであるが、年々減少している緑地(樹林地・農地)をどのように保全していくのか、対策を抜本的に検討すべきである。

(7)計画を推進する仕組みについては、「経済的手法の調査・研究」だけでなく「規制的手法」の充実・拡充をおこない、地球温暖化対策等に対しこれを適用すべきである。温暖化は、本来公害の範疇であるにもかかわらず、大企業はこれを地球環境問題だとして責任回避し抜本的な排出削減を怠っている。

(8)大規模な開発事業における、現行の事業者の「環境配慮」は不十分である。この間の発電所計画で見られたように、窒素酸化物や二酸化炭素が既存の施設の操業時よりも大幅に増加するのに、机上計算で「環境への影響は軽微」との理由で事業が容認されてしまっている。微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準が制定され相当年数が過ぎるが、いまだに環境保全目標に位置付けられていないことも問題である。

(9)「SDGsの考え方」を活用するのであれば、今も公害被害者が増加しているのだから、その他の健康破壊も含め、真っ先にゴ-ル3の「すべての人々の健康的な生活を確保」を邁進すべである。

(10)「環境要素ごとに取り組む施策」のうち、(3)「快適に暮らせる大気や水などの環境づくりに取り組む」の施策内容で使用されている、『共創』という言葉はいかなる意味なのか。「協働」は、改定案の中で頻繁に使われ定着していると思われるが、『共創』は初耳であり用語索引にもない。大気や水環境の改善を前提にしているのであれば問題である。ワ-クシヨップ等で出された意見として、「約30年後には、空気、水がきれいな川崎市がいいです」とあり、これはこの意見が現状、まだ実現されていないことを示しているものと考える。

(17)川崎市環境教育・学習アクションプログラム(案)についての意見   神戸 治夫
     (2020/12/15提出)

〈1〉(p1)
公害を過去の問題とするので なく、現在進行形の問題として位置付ける。現実を直視する勇気
・智慧を持つのなら川崎市内に、いまも公害と公害被害が存在していることは明らかである。

〈2〉(p9)
環境負荷だけでなく、いまも ①公害物質が排出されていること、②大気汚染による健康被害が
発生していること、③大気汚染物質の中には環境基準・環境目標値が達成されていないものがあること、などを理解させることが必要である。

〈3〉(p10)
条例を単に順守することに解消せず、それ以上に企業・事業所に対し、大量の公害物質や温室
効果ガスを排出していることを自覚させ、これを抜本的に削減する措置を取らせることが必要であることを理解させる。

〈4〉(p12)
仮称・環境教育資料館をつくり、その中に川崎公害に関する住民運動や行政・議会・事業所に係る資料や図書などを備える。そして、これを新たな環境教育・学習の拠点とする。

〈5〉(p23)
大気や水などの環境保全に関する指標として、「市内の空気や川・海のきれいさ満足度」が掲げ
られているが、科学的根拠に支えられないヒトの意識に頼ると行政の執行を誤ることにならないか、疑念を持つ。

〈6〉公害・環境と深い関係を持つ、ぜん息や熱中症・新型コロナなどにより市民の生命と健康が侵
されている。すべての市民に、環境の有限性や生態系、生存権・環境権について教育・学習をさせる。

(18)川崎市大気・水環境計画素案 についての意見
  川崎から公害をなくす会
   (2021/2/22提出)

(1)環境基準の達成は、大気汚染 改善の一部でありこれをもって 「大幅改善」等と言えない。今 も二酸化窒素の環境目標値   (0.02ppm)も、光化学オキシダ ントの環境基準も未達成であ  る。何よりも健康被害が続いて いる。ぜん息患者は全市2万人 以上、熱中症被害者や新型コロ ナ感染者も増加している。
(2)今後の目標の一つに、0.04ppm 達成局数を掲げているが、かつ て1985年に達成すべきもので  あった。0.02ppmを目標にすべ きだ。
(3)市民アンケ-ト等は参考にすべ きもの。それを「市民実感の向 上」と称して環境改善の行政目 標とするのはおかしい。
(4)突然「環境を共に創る」(共  創)が出てきたが、これは企業 や行政はもちろん、すべての市 民に環境改善の価値観を植え付 けるものではないのか。経団連 が使っている言葉に似ている。
(5)例えば、東電川崎火力のよう に年々窒素酸化物排出量が増加 しているのに、「自主的な取組 の促進」で良いのか。
(6)健康影響調査の重視を。環境 省の幸区における調査でも、現 状の大気汚染下において、二酸 化窒素・二酸化硫黄・浮遊粒子 状物質のすべてが健康被害と有 意な相関関係にあるとの結果が 出ている。
(7)脱炭素化の政策と大気汚染対 策は切り離さず、一体として取 り組む必要がある。
(8)「公害」を隠ぺいしたり、環 境一般にすり替えることはやめ るべきだ。

(19)市内発生源に係る、二酸化炭素排出量の算定に関する要請
 川崎から公害をなくす会
   (2021/7/28提出)

{前文/一部}
今日「温暖化」の解決が市民にとっても、また人類にとっても重大な問題となっています。気温の上昇、大型台風や相次ぐ洪水・異常気象による環境の変化、熱中症被害者の増加など、日常的にみられる現象となってきています。いまや「気候危機」の解決は、国際政治における最も優先すべき課題でもあります。
ところでわが国では、二酸化炭素は未だに大気汚染物質に指定されていませんが、米国では10年以上前に、連邦最高裁がこれを大気汚染物質と捉え環境保護庁(EPA)はヒトの健康や環境に悪影響を及ぼすものと認定しています。国内では、「シロクマ裁判」として扱われ中央環境審議会の中でも取り上げられています。本会が以前(2014年12月)、市内で二酸化炭素測定や煙突出口における測定など4項目からなる「工場・事業所からの二酸化炭素の抜本的削減に関する提案」を市長に対し提案したのも、エネルギ-消費にもとづく温暖対策や企業の「自主的努力」に期待する現在の削減対策では不十分であると考えたからです。

[要請項目]
(1). 平成21(2009)年2月19日の川崎市環境審議会答申「窒素酸化物に係る大気環境対策について」に係る審議のなかで、窒素酸化物やばいじん・硫黄酸化物などと一緒に、つまり同じ計算方法で、二酸化炭素の発生源別排出量が発表されています。これは平成17(2005)年度のものなので、その後の最新のデ-タに基づいた算定を行い、その結果を発表して頂きたい。

(2). 今後一層温暖化問題について、環境対策推進課(発生源担当)の立場からの取組みをして頂きたい。

 

(20)川崎市地球温暖化対策推進基  本計画(案)に対する異見
 川崎から公害をなくす会
   (2021/12/15提出)

1. 国連をはじめ世界は、地球全   体の環境を守るためには気温の上昇を、産業革命前の時代から「1.5度C」に抑えることが必要であるとしています。先のCOP26では、この目標が一層強く求められました。この点は改定の背景として触れられていますが、今回の計画改定案は、果たして「1.5度C」を実現できるものになっているのか不明である。市の削減目標は、「50%以上(13年度比)」と国よりもやや高い目標ではあるが、まだ不十分と言わざるを得ない。

2. 市内における、二酸化炭素排出量のほとんどは企業や事業所、つまり産業界からのものである。また温暖化対策法によると、電力からの排出量は、「直接配分」でなく「間接配分」として、本来電力会社の排出分を消費者の排出分として算定されている。 従って、川崎市の地球温暖化対策推進基本計画の骨格は、基本的に産業界の排出削減にシフトしたものにすべきです。

3. 大企業や事業所による、二酸化炭素をはじめ温室効果ガスの排出に関しては、他の公害物質と同様に「発生源責任」並びに「汚染者負担の原則(PPP)」が適用されるべきです。大企業等の排出と市民のそれを同列に扱ってはならない。本市において、すでに大企業等による「加害行為」によって、熱中症や感染症など市民の健康被害が生じている。二酸化炭素が公害物質であることは、外国では常識とされています。

(前項の続)き

4. 温暖化の進行を防ぐためには、いつまでも企業・事業者の「自主的努力」に頼っていてはならない。大体、現行の「計画書提出制度」下においてすら、自ら決めた目標達成がなされていないのではないか。従来の対策から新たに、事業者ごと排出総量を定めて削減する公害規制の手法に転ずるべきです。煙突で二酸化炭素の測定をさせたり、「環境目標値」を設定するなどして環境濃度を引き下げる必要がある。

5. 将来工場等の燃料として、水素やアンモニアの利用計画が進められているが、水素を輸入するにしても現地生産において化石燃料を消費し、またアンモニアの生産のために大量の二酸化炭素が排出される。結果として地球全体の温暖化ガスの排出ゼロにつながらないのではないか。さらに火力発電にアンモニアを混焼することは、粉じんを大気中に放出するなど公害を発生しないか心配である。また工場群からの、膨大な海や空への排熱を抑えなければ温暖化は防げない。

6. 2050年ビジョンについての「まちの姿のイメ-ジ」を見る限り、「利便性」や「効率性」・「人工的」な「まちの姿」を感じてしまう。こうしたものを否定するものではないが、もっと“落ち着き”とか“うるおい”・“生き物中心”の「まちの姿」にならないか。必ずしも、市の南部-産業、市の中部-交通、市の北部-市民生活というように役割分担しているわけではなかろうが、市域全体の基盤に、みどりや水辺・清浄な空気・田園などが感じられる「まちの姿」になってほしい。理想の「大気の状態」は、工業化以前の自然状態である。

7. 扇島の JFEスチ-ル高炉廃止に伴って生じる跡地については、所有者との交渉により無公害・脱炭
素の施設等への大変換を。大規模の再生エネルギ-基地にするとか、二酸化炭素の吸収源として大
規模な森林・緑地として活用することを考えるべきである。

(21)川崎市大気・水環境計画(案) に対する意見
   (2021/12/15日提出)       

1. 策定の趣旨のなかで、「市民意識調査等の結果からは、依然として市民の意識に公害のイメ-ジが残っており、環境改善が図られたことが浸透しているとはいえない状況がうかがわれます」とあるが、この「公害改善」については、川崎市はこれまで随分と駅頭や広報誌等で宣伝してきた。それにもかかわらず、その「効果」が市民意識調査に表れないのは、実際に公害がいつまでたっても本当の意味で改善されていないからだ。川崎市は、環境や公害の定義を明らかにしたうえで計画の改定の議論をしてもらいたい。

2. そもそも、国が定めた環境基準が「達成」されたことをもって、「公害改善」したと速断することは間違っている。
①・二酸化窒素の現行環境基準(市の対策目標値も同値)は、1978年7月、全国の公害被害者や住民・国民の反対を押し切って改悪したものであり、健康がまもられる数値ではない。だから当時、市は旧環境基準値だった日平均値0.02ppmを「環境目標値」として存続させたのであり、これを早期に達成することが市の責務である。今般の環境基本計画改定により「0.04ppmまたはそれ以下」の目標が改悪され、「0.04ppm」の目標に後退させているが、「環境目標値」が達成できていないのなら「公害改善」とは言えない。測定法を湿式から乾式に変更したことも、見かけ上濃度の低下に貢献している。
②・微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準は、一部を残して「達成」されつつあるが、東京都は昨年、環境基準より厳しい新たな目標-「全測定局平均で年10μg/m3」を決めた。川崎市も、これに見習いさらに対策を進めるべきだ。
③・二酸化窒素や微小粒子状物質の環境基準には、二酸化硫黄や浮遊粒子状物質のように「短期影響評価」がない。こども・年寄り・妊産婦など社会的弱者は、瞬間濃度の影響を受けやすい。こうしたことが、現行の環境基準には考慮されていない。

(前項の続き)

④・WHOは本年、微小粒子状物質について年平均10μg/m3、また二酸化窒素については年平均5μg/m3(これは0.005ppm、日平均では0.012ppmにほぼ相当)という非常に厳しい指針値をそれぞれ公表した。市の現状はこれに遠く及ばない。
⑤・光化学オキシダントの環境基準が未達成になっていることも言うまでもない。酸性雨も降っているし、悪臭もでている。有害化学物質も排出されている。このような状況をみれば、とても「公害は改善された」等と言えない。

3. 何よりも、現に多くの公害被害者が存在している。川崎市医師会調査によると、市内のぜん息患者はここ十数年、約2万人前後で推移している。呼吸器系疾患による死亡者も増加している。そして、重要なことは、現状の大気汚染の下でも汚染と被害の間に有意な相関関係が示されていることである。これは、環境省の環境保健サ-ベイランス調査の我々の解析からも証明されている。公害とは、健康被害をも含む概念であるが、このことを評価した形跡が見られない。この点からも、公害は改善されていない。

4. 温室効果ガスの二酸化炭素も、外国では大気汚染物質と捉えていることはいまや常識である。アメリカでは連邦最高裁の判例まで出ている。国の中央環境審議会でも発言がされている。川崎市教育委員会発行の公害副読本も、かつて「気温まで変える公害」であると記載していた。本来、公害の範疇に入る物質が大企業の加害責任回避のため、「地球環境問題」の一つとされたのだ。
今日、温暖化によって熱中症等の被害者が増えるなか、ますます公害としての位置づけが必要になってきている。従って、温暖化防止のみならず大気汚染改善のためにも、二酸化炭素の常時監視をすすめ、大企業に対する排出総量規制等の政策を実施することが必要である。

(前項の続き)

5. 大気・水環境計画の今後の施策目標に、大気環境・水環境・化学物質と並べて、「市民実感」を掲げることには反対である。「大気や水などの環境が良好であるという市民意識の向上」は、市民の自発的・自然な意識に委ねるべきであり、行政が、人の意識の分野に介入してどうこうすべきものではない。しかも、先の改定環境基本計画(2021/2)で初めてこれをとりあげ、本計画でも使用している『共創』の概念(但し「共に創る」と漢字を区分)。これはビジネスの分野から生まれ、最近経団連や企業が盛んに使用している用語である。これは価値共創という言葉があるように、何よりも同じ価値観を共有させることに狙らいがある。中立であるべき行政が、「公害は改善された」「環境は良くなった」という価値観を市民に共有させることを目指すことは問題である。

6. 冒頭の「本市における公害の歴史と取組について」で、1960年代の臨海部の空と現在の臨海部の空
を比較した写真がわざわざ載せてある。また、基本施策のリ-ディングプロジェクト-4には、市民参加型の調査として「視程調査」が提起されている。しかしこれら肉眼で見えるばい煙等による影響は、石炭や重油が大量に消費された数十年前のものであり、現在の大気汚染の主体は肉眼でとらえられない物質が中心である。
従って、いま行政に求められるのは、環境基準や環境目標値が未達成な二酸化窒素や光化学オキシダント、全身への影響が懸念される微小粒子状物質やナノ粒子・有害化学物質、そして現在大きな課題となっている二酸化炭素等の詳細な科学的調査と研究の促進だ。


この情報は、「川崎から公害をなくす会」により登録されました。

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