持続可能な地域交通を考える会 (SLTc)
                           

かしてつバスBRT(鹿島鉄道代替バス専用道)視察

路線バスは時間通りに来ないから「あてにならない」。そんな声もよく聞かれます。

そこで、自治体とバス事業者が協力してバスの定時運行を実現した事例として、茨城県石岡市・小美玉市を走る「かしてつバス」BRT (Bus Rapid Transit) の視察に出掛けました。

この視察は、川崎の交通とまちづくりを考える会 (K-cube) の有志が企画し、同会および本会(SLTc)の会員のみで実施しました(一般公募は行っていません)。

両会では不定期にこうした視察を実施しています。会員は随時募集していますので、関心がある方は野口(E-mail: noguchi★sltc.jp ★を@に変えてメール送信)宛にお問い合わせください。

JR常磐線の石岡駅。上野方面からの普通列車が日中毎時2本、特急「ときわ」が毎時1本停車し、交通の要衝になっています。

2007年3月までは、ここに「鹿島鉄道」も乗り入れていました。写真右手がJR常磐線、左手の道路は鹿島鉄道の廃線跡を利用したバス専用道と、そこを走る専用バスです。

【参考】鹿島鉄道跡地バス専用道化事業(かしてつバス)
http://www.city.ishioka.lg.jp/page/page000728.html
鹿島鉄道の開業から廃線、バス専用道の開設までの経緯は、石岡駅や小川駅など、主要バス停に案内板が設置されています。

「(鹿島鉄道の)廃線翌日から、代替バスが運行されたものの、道路の渋滞が激しく、定時性の確保が難しくなった等の理由により、代替バス利用者は鉄道運行時の約4割と大きく落ち込みました。このため、鹿島鉄道跡地をバス専用道(BRT)として活用し、鹿島鉄道と同等のサービスを提供できるよう、平成21年から整備を進めました。」
JR石岡駅前のバス乗り場に現地集合。参加者は6名。小美玉市の担当部署より提供いただいた資料を配付し、会員の中でも特にバスに詳しい幹事が、行程等を説明しています。

この後は茨城空港行き系統の全区間を往復乗車し、専用道および一般道の状況や利用状況などを視察しました。

なお、今回の視察開催に際しては、小美玉市、石岡市の担当部署の皆様に資料提供等のご協力をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
まずはバスに乗車。バス専用道は石岡駅から旧常陸小川駅までの計7.1kmが整備区間になっていますが、現時点では旧四箇村駅までの5.1kmが開業しています。

道路は石岡駅付近が最も混雑するようで、混雑区間にバス専用道を整備することで、バスの定時性確保に貢献していました。

ただし、走っている車両は一般的なバス車両です。日中は空いている時間帯もありますが、空港行は大きな荷物を持った人が多く、飛行機の発着に合わせて混雑する便も見られました。

連接車両の導入などもバス利用者増に貢献するのでは、との意見が出ていました。
旧常陸小川駅から先は一般の道路を通り、旧小川町(現在の小美玉市の一部)の中心部を通って茨城空港まで乗り入れる系統(写真)と、旧鹿島鉄道線をたどって玉造駅や鉾田駅、さらに鹿島臨海鉄道・新鉾田駅までを結ぶ系統に分かれます。

鉄道では道路を走れませんから、町中に乗り入れて利便性を高めることができるのは、バスの特長になるでしょう。

ちなみに運行本数は石岡駅〜小川駅間(専用道整備計画区間)が最も多く、次に空港方面が多く、他は概ね鉾田方面に行くにしたがい減る傾向になります。今回は石岡駅〜茨城空港間のみの視察となりましたが、利用者数も概ね運行本数に近い傾向になっているものと思われます。

【参考】時刻表
https://kantetsu.co.jp/green-bus/omnibus/omnibus.html
バス専用道は、旧鹿島鉄道の単線の線路跡を利用したもので、自動車では1車線分がやっとです。所々拡幅して退避場所を設けるなどして、バスは交互通行しています。

現在は石岡市・小美玉市が管理する市道ですが、路線バスを除き通行止の規制がされており、路線バス以外の車両はもちろん、歩行者も通れません。

交差点には誤進入防止の黄色い舗装と遮断機が設けられていました。

様々な工夫がされていますが、ひとつ気がかりなのは、かつて鉄道時代には踏切で列車が優先だったところが、今は逆になっています。バスは交差点(踏切)ごとに一旦停止するので、どうしても所要時間が延びてしまいます。ここはPTPSを導入するなどしてバスのスムースな運行に貢献すべきではと、会員から意見が出ていました。
南台ニュータウンの開発に合わせて設置された、石岡南台駅。ここは新しい駅で、街開きとともに1989年に開業し、わずか18年で廃止になりました。

駅ホームが残ったままになっています。上方の跨線橋も現在は使われておらず、専用道に横断帯が設置されています。

視察に訪れた日はあいにくの雨模様でしたが、専用道上の石岡駅方面のバス停には多くに上屋が設けられており、雨を避けてバスを待つことができます。当駅では鉄道時代からの駅前広場やトイレなども引き続き利用できました。

鉄道駅の拠点性や待合所などの利便性が、バス転換後も専用道にすることで引き継がれている様子が見受けられました。
同じく石岡南台駅。バスの本数は2系統合わせて日中毎時2-3本。鉄道時代と同程度の本数でしょうか。それでも平日日中時間帯は、混んでいる便と空いている便の差が激しい印象でした。空港のフライト時刻に左右されるのでしょうか。

ちなみにここは鉄道時代は複線(交換可能駅)でしたが、道路にすると2車線取ることができません。わずかな差ではありますが、土地利用の面からも、鉄道の効率の良さを窺い知ることができました。
かしてつバスBRTの視察後は、隣の土浦市に移動し、JR東日本と土浦市が進める「自転車のまち」を視察。

ここではかつての線路(筑波鉄道筑波線)跡に自転車道「つくばりんりんロード」を整備し、自転車で観光誘致を進めている事例になります。

こちらは機会を改めて報告したいと思います。

写真はJR東日本のグループ会社が運営する駅ビル「プレイアトレ土浦」

【参考】
プレイアトレ土浦
https://playatre.com/
自転車のまち土浦
http://www.city.tsuchiura.lg.jp/page/dir011258.html
情報掲載日:2018/10/17

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